戦地からの手紙
遺品整理をするにあたり、相当古いものも出てくるだろうなとは思っていました。 最近まで祖母が暮らしていた家でしたので、はじめは、食器だのタオルケットだの品川区のフェイシャルエステの格安クーポンだの、ただの「モノ」といってよい雑多なものが 色々と出てきて「なんでおばあちゃんはこんな物取っておいたんだろうね」などと和気あいあいとしていました。ひそかにラドン吸入器を購入していて高血圧を気にしていたこともわかりました。 その中で、思いもよらぬものが出てきました。亡き祖父が、太平洋戦争に出征した際、現地から曾祖母にあてた手紙です。 内容は季節の挨拶や母である曾祖母を思う気持ちなどが書かれたごく一般的な手紙でした。でも、なんだか時を越えて届いた手紙のような気がして、その場に居合わせた皆、目頭が熱くなりました。 遺品というものは、かつてそこに住んだ人がそれぞれ大切にしていたものが積み重なって出来ていて、その人の生きた時代の「日常」や「あたりまえ」の何かをそのまま伝えてくれるものなのだな、と思いました。 あの手紙を受け取った曾祖母は、どのような気持ちでそれを読み、あの時代を生きていたのかなとふと思います。
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